日々を醸し出す

1人の娘と1人の嫁と一緒に楽しく暮らしつつ、ビール、英語、筋トレに興味津々なおっちゃんの只の日記。

醸せない国、日本

この記事は「日本の自家醸造禁止の理由とホームブルワー」について書いています。大体10分です。

 1. 日本の自家醸造禁止の理由
 みなさんご存知でしょうか。
 ここ日本では自分でアルコール度数1%(v/v)以上のお酒を造ることは酒税法で禁止されています。「売らなければ良いんでしょ?」―いいえ、造った時点でアウトです。


 何ということでしょうね。自分のケツは自分で拭く、この大人の精神が許されていないのが日本です。実はこれ、世界で日本だけです。

 これらは全て過去、日本が酒税に頼って税金を集めた事に起因します。
遡ることうん百年、平安時代後期に酒麹売業者に課税が始められたのをきっかけに、政府は酒造業が良い税源になるのではないかと目を着けました。この動きは室町時代から本格化します。とは言え、対象はプロの酒造業だけであり庶民は自由にお酒を造っていたようです。
 ところが年々酒税に税源としての魅力を感じてきた政府は、ついには自家醸造を全面的に禁止、酒税もうなぎのぼりに上がっていきました。酒造メーカーは重い税を負担する分、見返りとして新規参入を政府に禁止してもらい、競争が起こらないようにしてもらっていました。自家醸造の全面的な禁止は明治32年、1899年のことです。その当時の酒税の国税における占める割合はおよそ3割を超えていたそうです。税金の3割が酒税で賄われていたのですよ。恐るべき時代です。ちなみにそれらは日露戦争などに充てられました。
 この辺の経緯は以下の記事でかなり詳しくご紹介なさっているので、そちらを参照していただけると良いと思います。

酒文化研究所ー日本の酒税制度の軌跡をたどる

http://www.sakebunka.co.jp/archive/letter/pdf/letter_vol24.pdf

 
 ちなみに今現在の国税における酒税の割合はおよそ1.5%であり、財源として重要な位置を占めているとは言えません。にも拘わらず今なお自家醸造が禁止されているのは昔のなごりだけ、と言えます。

 

 2. ホームブルワー
 そんな不思議な状況の日本とは打って変わって、海外では自家醸造に規制はあれど禁止はされておらず、自由にお酒造りを楽しむホームブルワーが大勢います。Home(=家)でBrewing(=醸造)をする人(=Brewer=醸造者)。そう、彼らは家で自分のお酒を造っているのです。現状として、昨今のクラフトビールブームもあり、造られているお酒はもっぱらビールが多いです。
 ではどういった国でホームブルーイングが盛んなのでしょうか。「ビールと言えばドイツだろ。。。」そんな声も聞こえてきそうですが、恐らく今最も勢いがあるのはアメリカです。近年のアメリカは空前のクラフトビールブームであり、多くの新たな(正確には昔流行ってすたれて今また流行った)スタイルのビールが醸造されており、ブルワリー(ビールを作る醸造場。ワイナリーのビール版)も年々急激に増えています。その勢いでビールの本場欧州のビールにも大きな影響を及ぼしています。アメリカでは自家醸造用の道具を売るお店はそこら中にある(らしく)、ホームブルワー同士のコンペティションなどが行われ、優勝したビールは実際にプロのブルワリーで醸造されたりするそうです。つまりホームブルーイングが一つの文化になっているのですね。アメリカの研究所の運営はドネーションで成り立つ部分も多いですし、アメリカ人は結構一つの事に入れ込むのが好きですよね。。。

 いずれにせよ、彼らは「自分の飲む酒は自由に作って飲む」という自由を謳歌しています。我々日本人は「自分の飲むものは自分で造る」という当然の権利を失っていると言えるのではないでしょうか。日本酒にせよどぶろくにせよビールにせよ、素人が造り出す新たな文化もあると思うのですが。。。
 ただこの辺は色々な人が色々な立場で色々な意見を持っていますので一概には言えません。昔の記事ですが、私の好きな藤原ヒロユキさんも自家醸造には反対しているようです。

www.jbja.jp

 私はビールラバーですので、是非日本でも自家醸造が解禁され、新たな形のビールが日本で生み出され、世界のビールシーンが活発化することを願っています。てかそうじゃなきゃつまらないじゃないか。
 次の記事では奇妙な人々、ホームブルワーについてもう少し詳しく取り上げてみたいと思います。


 RDWHAHB, cheers🍻

 

このブログのこと

ブログを初めてみた。
別に何か「みんなに伝えなきゃ」とか強く思うことがある訳ではないけど、日記代わりみたいな感覚でその時々思ったこと、学んだことなどを書いていこうと思う。主にお酒、特にビールが好きだからその事とか、美味しいお店とか、英語とかが話題になり易いと思う。その中で少しでも読んでくれる人(いるのか?)に役立つ情報があれば幸いである。
書いている人はこんな感じ。
年齢:アラサー
住まい:関東の治安の悪いところのどこか
趣味:娘